貧血に効果のある漢方薬
貧血は女性に多い症状です。鉄分を補給することが大事ですが、鉄剤は胃にもたれやすい薬です。漢方は、胃腸を強くし消化吸収力を高めるのが得意です。また、血を補う漢方薬もたくさんあります。ここでは、胃腸の強さ別に貧血におすすめの漢方薬を紹介します。
以前に貧血について紹介した記事は下記URLよりご覧いただけます。
https://www.kami-kanpou.com/gynecological_disease/貧血/
胃腸がとても弱い
鉄剤が胃に重い場合や、食欲がなく血に必要な栄養が取れない場合などは、胃腸の消化吸収力を高める漢方薬を使います。
四君子湯（しくんしとう）
胃腸の消化吸収力を高める基本の漢方薬です。胃腸がとても弱く食欲がない場合や、食欲も体力もない場合によく使います。
六君子湯（りっくんしとう）
四君子湯に胃の動きをよくする生薬を加えた漢方薬です。逆流性食道炎にも使われます。ただ、非常に胃が弱く胃を動かす力もない場合は、四君子湯のほうが向いています。
人参湯（にんじんとう）
お腹が冷えて下痢するときに使う漢方薬ですが、胃腸の消化吸収力を高める作用もあります。下痢があるだけでなく胃腸が弱く食欲がない場合に使います。
あまり胃腸が強くない
四君子湯をベースに、当帰（とうき）という血を補う生薬を含む漢方薬を使います。当帰は血を補う基本の生薬ですが、とても胃腸が弱いと胃にもたれる場合があります。
帰脾湯（きひとう）
四君子湯をベースに、血を補う生薬や眠りやすくする生薬を足した薬です。やる気が出ずボーッとしてしまう人の気力体力を補い、よく眠らせて回復させるのに使います。
加味帰脾湯（かみきひとう）
帰脾湯に、のぼせやイライラにいい生薬を足したものです。やる気が出ずよく眠れないけれど上半身がのぼせたりイライラしたりする場合に向いています。
補中益気湯（ほちゅうえっきとう）
四君子湯をベースに、当帰や、元気を上半身に引っ張り上げて頭をしゃっきりさせる生薬などを足したものです。疲れ・体力がない・食欲不振など、元気が出ないときによく使われます。
清暑益気湯（せいしょえっきとう）
補中益気湯を夏バテ向けに改良した薬です。四君子湯を参考に、当帰・体を冷やす生薬・汗をかいて失った体の潤いを補う生薬などが入っています。体質に合うなら、夏バテだけでなく、元気が出ない・食欲不振などにも使えます。
当帰芍薬散（とうきしゃくやくさん）
これは四君子湯ベースではなく、当帰に、血を補う生薬である芍薬（しゃくやく）と水分代謝をよくする生薬を組み合わせたものです。貧血・むくみ・婦人病によく使います。
加味逍遙散（かみしょうようさん）
四君子湯を参考にしていますが、気の巡りをよくしてイライラ・落ち込みなどの不定愁訴を改善する漢方薬です。胃腸の調子を整えたり、当帰が入ったりしているため、イライラや落ち込みがありあまり食欲がない人の貧血を改善するのにも使われます。
苓桂朮甘湯（りょうけいじゅつかんとう）
貧血そのものに働く薬ではないのですが、めまい・ふらつきを改善するためによく使われる漢方薬です。胃腸に負担をかけない生薬で作られているので、胃腸が弱いせいで栄養が吸収できなくて貧血になっている人にも使えます。
胃腸に問題がない
胃腸に問題がない場合は、当帰に加えて、地黄（じおう）という生薬が入った漢方薬が使えます。地黄は血や潤いを補う基本の生薬なのですが、胃にもたれやすく、胃腸が弱い人には使えないのです。
四物湯（しもつとう）
当帰・地黄・芍薬の、血を補う基本の生薬3つに、血の巡りをよくする生薬を足した漢方薬です。血を補う基本の薬です。四物湯単体で使うことはあまりないのですが、四物湯を丸ごと含む漢方薬に、貧血に使われる漢方薬が数多くあります。
連珠飲（れんじゅいん）
四物湯と苓桂朮甘湯をあわせた漢方薬です。血を補いつつ、水分代謝をよくしてめまいやふらつきを改善します。婦人病や更年期症状によく使われます。
鍼砂湯（しんしゃとう）
連珠飲に鉄粉を加えた漢方薬です。連珠飲より強力に鉄欠乏性貧血を改善します。
温経湯（うんけいとう）
四物湯をベースに、体を温めたり血行をよくしたりする生薬を組み合わせた薬です。貧血の女性の冷えや生理不順によく使います。
温清飲（うんせいいん）
四物湯に、体の熱を強力に冷やす黄連解毒湯（おうれんげどくとう）という漢方薬を足した薬です。貧血の人で、アトピーなどで皮膚がカサカサして炎症を起こしている人に使います。
十全大補湯（じゅうぜんたいほとう）
四物湯と四君子湯を組み合わせ、体力を補い生薬や体の巡りをよくする生薬などを足したものです。疲れ、体力回復などによく使います。
人参養栄湯（にんじんようえいとう）
十全大補湯に似て四物湯と四君子湯ベースの漢方薬です。ただ、体の巡りをよくする生薬ではなく、気持ちを落ち着ける生薬や胃の動きをよくする生薬を足しています。疲れ、体力回復、不眠などによく使います。
婦宝当帰膠（ふほうとうきこう）
四物湯をベースに、血を補う生薬や体力を補う生薬などを複数組み合わせて、女性の体用に作った漢方薬です。産後や授乳中など、血液と体力を消耗したときによく使います。甘いシロップの薬です。
芎帰調血飲（きゅうきちょうけついん）
産後の女性向けに作られた漢方薬です。四物湯に、血の巡りをよくする生薬や体の巡りをよくする生薬を組み合わせた薬です。血の巡りをよくして悪露を出しやすくしつつ、血を補い貧血を改善し、体を温めます。
芎帰調血飲第一加減（きゅうきちょうけついんだいいちかげん）
芎帰調血飲を改造し、体の巡りをよくする生薬をさらに加えた漢方薬です。産後の女性向けの薬であることに変わりはありませんが、出産未経験の体力のない女性にも向いた処方となっています。
貧血に悩む場合は漢方薬局へ
多くの漢方薬をご紹介しましたが、お一人お一人の体質、症状によってお合わせする漢方薬は違ってきます。体質、症状を詳しくお聞きし、一番適した漢方薬をお合わせ致します。 何でもお気軽にご相談下さいませ。
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